安倍前総理の辞任劇は衝撃的だったが、それにしてもむごかったのは、マスコミとマスコミ取り巻きのコメンテーターであった。精神的にも肉体的にもぼろぼろの状態の「敗軍の将」である安倍前総理に対し、これでもか、というぐらいに、意地悪な質問をし、コメンテーターは小ばかにし、徹底的にこき下ろす。 ところがそんな中で、ただ一人、胸にずしんと来る言葉を吐く人がいた。野中広務氏である。 野中氏は「刀折れ矢尽きて万策尽きたんでしょうな。」と同情の念を表明し敗軍の将をねぎらった。決して演技で言ってるとは思えない。胸に突き刺さる言葉だった。 野中氏といえば、政策的にも思想的にも対中国関係についても、歴史観においても、すべてが安倍前総理と真逆だったし敵でもあった。野中氏は橋本派を継承し、郵政利権や道路利権などほとんどの利権を手中に収め、権力の中枢に隠然たる勢力を誇ってきた。ある時点では、小沢一郎氏と熾烈な権力闘争を繰り広げた。かろうじて権力を守った野中氏は、今度は小泉純一郎氏との壮絶な死闘に破れ政治から身を引いた。ここで勝利した小泉氏の改革路線を継承したのが安倍前総理である。当然ここ半年の異常とも言えるマスコミによる安倍たたきは、これら一時敗北した勢力による陰謀もあるかもしれない。なぜなら事務所費問題などの細かいことまで逐一マスコミが知るはずが無いからである。誰かからのリークであろう。 しかしそういったことはさておいて、敗北を認め潔く辞任をすると発表した後の、人としての処し方の問題である。 最大の敵であった野中氏は「刀折れ矢尽きて・・・」と表現した。それはかつての自分の姿であったのだ。思想はさておきこの野中氏の態度は立派だと思った。 極端に痩せ目はうつろになっている前総理に対し、さらに追い討ちをかけるマスコミの異常性を見てしまった。某半島には古来から恐るべきことわざがある。「水に落ちた犬は棒でたたいて沈めてしまえ。」 まさしく現在の日本のマスコミ人は、はしゃぐことと、落ちた人を徹底的に叩くことしか眼中には無いのだろう。 日露戦争当時、乃木大将は敗軍の将、ステッセル将軍を「敗北を認めてサインしたことで十分である。これ以上の侮辱を与えてはならない。」といいはなち、新聞記者の求める写真には相並らんで撮影に臨んだのである。さすがである。 安倍前総理は短かったが素晴らしい政策を次々と実行した。そのうちの一つが史上最大の悪法との噂もある「人権擁護法案」を廃案に追い込んだことである。刀をぼろぼろにしながらこの法案を阻止し、矢がなくなりかけながらも北朝鮮への経済制裁を強めていったのである。 むしろ安倍前総理の最大の不幸は、敵の矢を体で受け止めてくれる絶対的な味方に恵まれなかったことかもしれない。権力闘争に敗れた源義経を最後まで守った佐藤兄弟や弁慶のような人が。 私の本業のホームページ 不動産法コンサル・サロン http://www.estate-consultant.jp
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