先日お会いした方はおばあさんでした。そのおばあさんの話にとても驚きそして感動したので、今日はそのときの話をすることにしましょう。
そこの家は母屋以外にいくつもの建物があり、貸家に貸している建物もありましたが、それ以外の建物には、だんなさんの膨大な書籍を置いてあるとのことでした。だんなさんはだいぶ前に亡くなったんだそうです。数個の建物に蔵書がびっしり置いてあるっていうのも尋常ではないなと思い、ある質問をしてみました。 私「それらの書籍はどういう関係の本なんですか?」するとおばあさんは「うちのは東北大学の工学部電機科で研究者として生きた人なんですよ。だからほとんどは科学関係の本ですね。私もアメリカやヨーロッパの学会などに連れて行ってもらったんですけど、そんなときでもその国の本屋や古本屋に立ち寄り、科学関係の本を買いあさったんです。その結果、こんなに本だらけになってしまって困ってるんですよ。ごみとして処分すれば良いのかわからなくて、今回の件でこれらの本も整理しようと思うんですけど。何か良い案が無いですかね。」 そこで私は神田のMという科学関係専門の古本屋を紹介した。 私「これだけ大量だし、たぶん東京から買いに来ると思いますよ。一般の人にとっては何の価値がなくても、その世界のマニアにとってはすごい価値があると思うんですよ。」 おばあさん「紹介していただきありがとうございます。ところでほんと科学者って妙だと思いますね。一日中同じ観測を飽きずにずうーとやってるんですからね。それ以外のときは書斎にこもってひたすら読書し続ける。夢中になると朝まで読んでるんですよ。それもわけのわからない記号がびっしり書いてある科学書を。いったい頭の中どうなってるのかと思ったこともありましたよ。」
私「でも東北大学の電機科といえば八木アンテナを発明した八木教授とか偉大な科学者をたくさん輩出しているじゃないですか。そこの研究者だったんですからすごいことですよ。」 おばあさん「え?八木教授をご存知なんですか。うちのは八木教授の後輩として一緒に研究生活をしていたんですよ。」 私「いや、本で読んで知ってるだけで、知り合いでもなんでもないですよ。」といいながら、あの日本を代表する科学者と一緒に研究していたと聞いただけで驚くと同時に感動してしまった。 世界に先駆け「指向性アンテナの原理」を発見した八木教授と研究者仲間たち。その遺産はその後のテレビアンテナやGPS受信機にも使われている。それらの発見も科学者たちのとんでもない研究と勉強の賜物なんだろう。あの蔵書群がそれを物語ってるような気がした。
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