良ちんの『日常を旅するブログ』
土地家屋調査士 斎藤良一が、旅や映画、読書等日常をつれづれなるままに書き綴るブログ
宮大工の心粋

先週、知り合いの建築士と飲んでいた。私は「今まで見た建造物で一番良かったものはなんですか?」という質問をしてみた。すると先生は「うーん。やっぱしさ、宗教建築にかなうものは無いよね。何年か前の話だけどね、奈良の室生寺に行ったことがあるのよ。室生寺には有名な五重塔があるけど、そのときは冬だったのね。よりによってというか、幸いにというか、ちょうど雪が降ってきたんだな、これが。石段の真下から、室生寺の五重塔を仰ぎ見たのよ。雪の降りしきる室生寺の五重塔はとてつもなく美しかった。寒かったからじゃなくて、あまりの美しさに全身が震えるほど感動した。そしてなぜかわかんないけど、涙があふれてきたんだ。あれが一番感動したかな。」

冬の室生寺の五重塔か。私は行ったことがないけど、この話を聞いてぜひとも行ってみたいと思った。ここの五重塔は日本一小さな五重塔だけど石段が結構あり、下から仰ぎ見る関係で写真などで見ると大きく見える。さぞかし美しいんだろうなあ。同時にこの塔を精魂込めて作った宮大工の心意気も感じてみたいと思った。
私の知り合いに加藤さんという宮大工さんがいますが、彼の仕事ぶりや話にはいつも感心させられます。加藤大工は定義山の五重塔を作った人であり、最近では大崎八幡神社の大修理を手がけた有名な宮大工さんです。彼の話は味わい深いものがあります。
やはり日本の寺社仏閣で好きなのは、室町時代から戦国時代に掛けて作られたもので、とても丹念に作られているそうです。大崎八幡神社は江戸時代初期とはいえ、戦国時代の名残をとどめていて素晴らしい建築物だそうです。おもしろいのはあれだけの建築物なので秋田杉や有名どころのヒノキを使っているかというと、そうではなく、大崎八幡神社付近から採ったなら、ぶな、けやき、さくら、など、すなわちその辺の材木でまかなっているという点です。(もちろん重要な部分は杉やヒノキを使ってますが。)そのため木はまっすぐでなく曲がっているものが多く、その木の特性を生かしてうまく利用しているらしいのです。本来住宅というのはその地域にある材木を使うのが一番いいんだろうなあ。加藤大工はさらに「俺はコンピューターも使えないし設計図って言っても簡単な図面で、後は現場で、つまり勘でやってるんだな。俺はとうちゃんに教わったとおりにやってるだけなんだ。しかし室町時代の建築物を見るとつくづく当時の宮大工のすごさを感じるなあ。俺なんてまだまだだよ。」

こういう素晴らしい宮大工さんが連綿と続いていることに俺たちは感謝しないといけないね。

私の本業のホームページ:不動産法コンサル・サロン http://www.estate-consultant.jp


【2007/03/07 21:45】 | 日記 | Author:斎藤良一 E-mail:info@estate-consultant.jp