最近読んだ本でよかったのは、「土地の文明」竹村公太郎著 という本です。土地に関する歴史的な考察ですべておもしろかったのですが、その中でもとりわけ印象深かったのが、北海道の石狩川の河川改修工事の部分でした。今日はこのお話を書きましょう。
石狩川という大河川は今でこそ、まあまあ直線っぽく流れてますが、明治時代は蛇行を繰り返す川だったそうなんです。北海道は明治以降、内地から多くの人が移住し苦労しながら農業や酪農を行ったところですが、ここ石狩川周辺にもたくさんの入植者が入り格闘していました。 しかし、この石狩川は見た目のゆっくりさとは裏腹に、農家にとっては「魔物」の川だったのです。この周辺の土地は実は「泥炭層」であり、その深さは20mに及び、米作りがこのままではできないほどでした。そこで入植者たちは土を取り、農作土を他から搬送した。ところが下の泥炭層は水分を含むため、せっかく持ってきた農作土が腐食しだめになる、この繰り返しだったそうです。
そこで、泥炭層から水分を抜く作業に取り掛かります。排水路をつくり石狩川へ流そうとするのですが、石狩川の水位は高く逆に押し戻されてしまったのです。強制的にポンプで泥炭層の水を石狩川へ流すのですが、明治時代に高価なポンプは入植者たちにとって買えるものではありません。 明治31年、石狩川で未曾有の大洪水が起こったことを憂慮し、政府はついにこの対策に乗り出します。それが「執念のショートカット」です。どういうことかというと、石狩川は当時蛇行が多かった。この蛇行部分をショートカットし直線にすれば、水の流速が増し、川底は水流で削られて、結果的に水位が低下するのです。 この大規模な河川改修工事は大正7年に始められたのですが、次々と直線にしたため石狩川全長の約30%、すなわち100kmを削り取ったのです。そのため各地に三日月湖も残ったそうです。この大工事によって泥炭層の水分も川へ流れ、入植者たちは農業ができる環境になり、その後の北海道の発展に役立ったそうなんです。
このショートカットを行った当時の技師たち、建設工事関係者、泥炭と格闘した入植者たち、こういった人たちのおかげで今の北海道があるんだな。今度北海道に行ったときは、飛行機上から石狩川を眺めてみようかな。技師たちの執念の産物である石狩川の直線が見れるはずだ。
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